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  • 執筆者の写真又吉

【防衛最前線】日本の自衛隊!!①

更新日:2020年4月25日








3月19日、横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッドの造船所。ここで建造されていた海上自衛隊の新型イージス艦まや」(全長170メートル、幅21メートル、基準排水量8200トン)が完成し、海自への引き渡し式が行われた。


1700億円が投じられた「まや」はさまざまな高性能装備を身に付けているが、最大の特徴は自衛隊が初めて搭載する「CEC」だろう。

 CECは「Cooperative Engagement Capability=共同交戦能力」の略。他の護衛艦、潜水艦、航空機などと大容量で高速の情報共有ネットワークで結ばれ、それぞれが捉えた敵の位置情報をリアルタイムで共有できる。




日本最大級の海上自衛隊護衛艦「いずも」は、南シナ海やインド洋東部を72日間かけて航海した。

その最中の6月19、20両日には、快晴の南シナ海で、一回り大きい米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」がぴったりと並走した。20日にはヘリコプターでレーガンを飛び立った第5空母打撃群司令官のトーマス少将が、いずもの甲板に着艦。第1護衛隊群司令の江川宏海将補と敬礼を交わし、笑顔で握手した。


艦内で記者会見した江川氏は自由で開かれたインド太平洋の実現」というフレーズを3回繰り返し、こう強調した。

 「いずもは各種作戦のほか、人道支援、災害救助でも高い能力が発揮可能で、地域に貢献することが期待できます」

 自由で開かれたインド太平洋とは、安倍晋三政権が掲げ、米国とともに推進している構想だ。中国の脅威を念頭に、南シナ海を含む太平洋やインド洋の沿岸国と協力関係を強め、海上交通路(シーレーン)の航行の自由を確保する狙いがある。いずもの72日間は、構想を象徴する任務だった。




かなみは「汎用型護衛艦」と呼ばれる。対空、対艦、対潜水のいずれの軍事作戦にも対応でき、哨戒ヘリを最大2機搭載できる。その名の通り汎用性が高く、非常に使い勝手の良い艦艇である。


2月2日、神奈川県の海上自衛隊横須賀基地。岸壁にたたずむ護衛艦「たかなみ」(全長151メートル、基準排水量4650トン)の全身グレーの威容が、青空に映えた。

午前10時42分、乗組員約200人が甲板に並んで直立した船体は、ゆっくりと岸を離れた。軍艦マーチのラッパ演奏の中、自衛隊最高指揮官の安倍晋三首相、河野太郎防衛相、そして乗組員の家族約500人が岸壁から見送った。


たかなみは南シナ海を抜け、原油輸入のシーレーン(海上交通路)である中東海域に向かっている。今回の任務は、防衛省設置法の「調査・研究」に基づき、中東海域での情報収集だ。今月下旬に現着し、石油タンカーなど日本関係船舶が安全に航行できるよう活動を始める。往来する船舶の船籍国や船名、位置、進路などを確認し、不審船の発見に努める。




昨年10月11日、東京・市谷の防衛省。10階にある記者室の窓から外を見ると、眼下の同省グラウンドに、モスグリーンの2つの車両が置かれていた。前日にはなかったのに突然の出現。航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオットPAC3)である。

その目的を防衛省は明らかにしていないが、はっきりしている。北朝鮮のミサイルが飛来する可能性が全くのゼロだとはいえない状況になったからだ。

訓練指揮官を務めた同高射隊長の前田章輔2等空佐はこう語った。北朝鮮の脅威が高まる中、「目に見える安心」をアピールする目的もあった。

 PAC3は米ロッキード・マーチン製で、迎撃ミサイル発射機、レーダー、射撃管制装置、通信機器などで1セット。全国17部隊に34機が配備されている。1機につき16発搭載できる。高度を2倍程度に伸ばし、精度も向上する改良版「PAC3-MSE」に、令和4年度末までに入れ替えていく方針である。






北朝鮮の度重なるミサイル実験や自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)の増加など、日本の安全保障環境が厳しさを増すなか、防衛に関心を持つ民間の会社員ら9人が、沖縄県宮古島市の航空自衛隊宮古島分屯基地を視察した。離島の防空レーダー基地で一行を迎えたのは40歳の女性司令。自然体の女性上官と的確にサポートする男性隊員という関係に、参加者からは羨望のまなざしも向けられていた。視察団に同行し日本防衛の最前線。


「世界有数」の能力

 航空自衛隊の南西航空警戒管制団にある宮古島分屯基地は、沖縄県が本土に復帰した翌年の昭和48年に米軍から引き継いだレーダー基地だ。中岡絵梨子司令(40)が部隊を率いる。

「各基地の固定式レーダーと、早期警戒管制機による空中レーダーで、世界有数の制空能力といえる」と自負をのぞかせた。レーダーは大手電機メーカーが国内で製造しており「他国には渡せない」機密が詰まっているという。

メーカーに勤める男性(35)は「スクランブルにばかり注目が集まるが、日本全土をカバーするレーダー警戒網が作戦を支えているんだ」と感嘆した様子で説明に耳を傾けていた。




領空侵犯の恐れがある外国機に対し、航空自衛隊の戦闘機が2019年度に緊急発進(スクランブル)した回数が947回だったと発表した。前年度より52回減ったが、過去3番目の多さ。中国機とロシア機が共同飛行する異例の動きもあった。

同省によると、対ロシア機が前年度比75回減の268回で、北海道と北東北を管轄する北部航空方面隊の対応は79回減の198回。一方、対中国機は37回増の675回となり、全体の7割以上を占めた。統合幕僚監部は「新型コロナウイルスの感染拡大後も活動に変化がない」とみている。

山崎幸二統合幕僚長は記者会見で「中国とロシアの連携を注視したい」と警戒感を示した。




有事の際、最前線に投入される空挺(くうてい)部隊の訓練を積んできた陸上自衛隊の橋場麗奈3曹(31)が4日、女性として初めて、習志野駐屯地(千葉県船橋市)で約100人の男性隊員とともに養成課程の修了式を迎えた。16日付で同駐屯地を拠点とする精鋭部隊・第1空挺団に配属される。

第1空挺団は、陸自唯一の空挺部隊。上空300メートル以上の高さから敵前にパラシュートで飛び降り、作戦に当たる。空挺団の女性の配置制限は平成29年に撤廃されたが、男性と同じ水準が求められる厳しい体力テストが壁になっていた。

女性自衛官は増加傾向が続いており、30年度末時点で約1万6千人。

母体保護の観点から勤務できない一部を除き、ほぼ全ての部隊で女性が働けるようになった。



秘密が多い自衛隊装備の中でも、二重三重のベールに包まれているのが海上自衛隊の音響測定艦「ひびき」と「はりま」だ。同じ呉基地(広島県)を母港とする艦艇の乗組員も「どこで何をやっているのか詳しく分からない」と口をそろえる。


音響測定艦が戦っている“敵”はロシアや中国など外国軍潜水艦の音だ。


音響測定艦はこの音紋を収集している。空から潜水艦の動きを監視する哨戒機や、海中に潜む潜水艦が相手方潜水艦のスクリュー音を探知し、集積されたデータをもとに船の身元を特定する。

自衛隊が平成3年と4年に「ひびき」と「はりま」を相次いで就役させた背景には、冷戦時代末期にソ連が技術開発を進め、潜水艦が発する音が静かになったことがある。潜水艦の最大の強みは、敵に気づかれず攻撃を加える能力。ソ連潜水艦の位置を正確に把握することが、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの無力化につながる。



F35戦闘機

空自は2024年までに計42機取得する計画。

F35の最大の特徴は、敵のレーダーに捕捉されにくい高度なステルス性だ。「ファースト・ルック、ファースト・アタック、ファースト・キル(最初に発見し、最初に攻撃し、最初に殺す)」を可能とするF35は第5世代戦闘機に分類される。



P1哨戒機

P1は海中に投下することで潜水艦が発する音を捉える音響探知機(ソノブイ)の性能が向上。P3Cでは捉えにくくなっている魚雷発射管を開く音や、かじを切る音も聞き分け、中国潜水艦を探し当てる。レーダーや磁気探知システムも多機能・高性能化し、僚機が収集したものも含む膨大なデータを高速で解析し、敵潜水艦の位置情報などを割り出す戦闘指揮システムも大容量化した。


実用機としては初めてフライ・バイ・ライト・システムを採用した。パイロットから方向蛇などに操縦信号を伝える際、電線ではなく光ファイバーを通して行う。多種多様な電子機器を積み込む哨戒機でも電磁波の影響を受けることなく運用することができるようになった。


巡航高度はP3Cの約1・3倍で、気象状況に左右されずに現場に到達することが可能だ。また、巡航速度が1・3倍、航続距離は1・2倍。素早く活動現場にたどり着き、より長い時間をかけて警戒監視活動に当たる。



03式地対空誘導弾

中国のA2/AD戦略に対抗するためには南西諸島に配備される陸上自衛隊の地対空ミサイル、地対艦ミサイルも欠かせない。この中でも米軍関係者をうならせたのが03式地対空誘導弾(中SAM)だ。

03式は同時に複数の目標に対処する能力を備えたフェーズドアレイ・レーダーを搭載。敵航空機や巡航ミサイルの情報を受け取ったレーダーが目標を捜索、探知、追尾する。発射された誘導弾はレーダーの信号を受け取りながら敵に接近。最後は誘導弾が電波を発し、目標を捕捉して撃墜する。

防衛省はさらに進めて、次世代型の「中SAM改」の開発を22年度から行ってきた。

 中SAM改の開発は、射程延伸やネットワーク交戦能力の向上が目的。防衛省は来年度予算案の概算要求で中SAM改1式の取得費117億円を計上した。



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